フロウティアから話を聞かされたエアルフリードは、笑い話を聞かされた時と同じように、思わず吹き出していた。
「ぷっ……あはははははははっ! あのユーウェインがねぇーっ!」
 長い付き合いの友人のその反応に、フロウティアは予想していた通りだと内心で頷きながら、にこりと微笑む。
「彼の魅力に気が付く女の子も、ちゃんといたってことね」
「魅力、ねぇ?」
 笑いが収まらない顔で、お腹を抱えるようにしながら首を傾げるエアルフリード。それは疑っているというより、からかっているようなリアクションだ。
「そりゃ顔は良いし、見てる分にはいい男だもんね」
 人差し指を立ててウインクをしてみせながら、そんなことを言う。そして次の瞬間にはその表情を一変させて、疲れたように肩を落としながら、大仰なため息を吐いてみせた。
「でも近付いてみたらサイアク。あんな面倒なヤツはいないわよ。ポエットちゃんも趣味が変わってるよねぇ〜」
 一人芝居でもしているかのような親友の態度に、フロウティアは口元に手を当てて静かに笑う。
 一呼吸ほどそうしてから、彼女はちらりと上目遣いにエアルフリードを見つめた。
「……悔しい?」
 この辺りのタイミングは流石なものだ、とエアルフリードは思う。
 彼女もそれに合わせるように、ふざけた雰囲気を収め、胸を張るようにしながら不敵な微笑を向けた。
「全然っ……ていうと、嘘になるかしら。この場合」
「そうね。でも、悔しさとも少し違うのかな? ユーウェインのことではないものね」
「さすが親友」
 エアルフリードの勝ち気なその表情に、フロウティアは柔らかい笑みで応える。
 新緑のような二つの瞳を伏せ、まるで詩歌を読むような静けさで、エアルフリードは言葉を続けた。
「私は戦技でしか彼の関心を惹くことはできなかった。認められていたのは、弓の上手い戦士としての私だけ。言葉と態度だけで興味を抱かせるなんて、私には無理だったわ」
 そして、照れ隠しのように気まずそうな笑顔をフロウティアに向けた。
「凄いよね、ポエットちゃん」
 フロウティアは目を伏せて苦笑する。
「そうね」
 自分ができなかったことをやってみせた、ポエットに対する敗北感にも似た羨望の想い。小さな少女のその一途なひたむきさを、羨ましいと思う。
 自分にはないものだからこそ、ちょっとだけ妬んでいるのかもしれない。
 そんなエアルフリードの心を、フロウティアも解るのだ。自分もそうだから。
 あるいは、だからこそ親友の口からそれを聞いて、安心したかったのかもしれない。
 どちらにしろ、この話は二人の間だからこそ引き出されるものである。
「あー、でも私がユーウェインに未練があるとか、そこんところを勘違いしないよーに。それだけは絶対にないから」
「わかってるわよ。あなたがその後、何人の男性と付き合ったかも知ってるんだから」
「うそっ!?」
「ほんと」
 のけぞるようにして大げさに驚くエアルフリードに、悪戯っぽい笑みを向けてあげるフロウティアであった。
 
 

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